第四回目のゲストは音響監督の高橋さんにインタビューを敢行!
私も知らなかった過去の収録裏話などをたくさん聞いてきちゃいました!-
~Vitaminシリーズとの出会い~
【菱山】
高橋さんといえば、PS2『VitaminZ』から長くシリーズに携わって下さっているのですが、そもそものきっかけというのは?
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【高橋】
実は『VitaminX』のアスガルド様のドラマCD(羊でおやすみシリーズ)で初めてシリーズに関わらせていただいたんですよ。確か、2008年の春でしたね。
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VitaminX×羊でおやすみシリーズ(Vol.1~Vol.4)
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【菱山】
そう! って、私はその場にいなかったんですが(笑)。当時、大池Pがちょうど『VitaminZ』の音響監督を探していてお願いしたのだと聞きました。
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【高橋】
本当にありがたいお話でした。気づけば毎年1本はゲームをやらせていただきましたし、ドラマCDなども含めると、本当、Vitaminが切れることがなくて(笑)。
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【菱山】
摂取し続けてます!? あ、作る側だと、供給でしたね(笑)。PS2『VitaminZ』のお話があったときはどんな感じだったんですか?
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【高橋】
いや、もうびっくりでしたね。もともとVitaminシリーズはドラマCDのお仕事で知ってたんですが、ゲームとなるとお話だけじゃなくてボケとツッコミやシステム的な部分のボリュームも多くて。あと、キャラクターのぶっ飛びにも驚きましたよね。特にセンターのキャラクターがべらんめえ口調っていうのがインパクト強すぎて(笑)。
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【菱山】
ああ、天十郎のことですね。
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【高橋】
そうです。乙女ゲームらしからぬ勢いに圧倒されましたよ。そして、何より一番ビックリしたのは台本のボリュームでした。これまでにも何作かゲームを収録したことがあるんですが、過去最高の多さでしたね。スタジオに行くのにキャリーバッグで引いていかないといけないくらいで(笑)。
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【菱山】
ああ、当時は全台本(※全キャラ分のルートを含む通し台本)だったと聞きました。ものすごい量だとお察しします。
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【高橋】
はい。しかも台本が届いたのが前日で、焦ったのを覚えています。もちろん、事前にデータを頂いていたのでチェックはできていたのですが、データと印刷した台本だとページが違ったりしますので、結局は印刷台本をチェックしなくちゃいけなくて、徹夜してチェックしてましたね。
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【菱山】
うわ、、、それはもう台本仕分けるだけで終わりそうなのに、大変でしたね……。
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【高橋】
はい。あの日のことは忘れられません。しかも、初日の収録はB6の小野さんだったんですよ。メインキャラならまだ登場シーンが固まってるんですが、教師キャラだと出るシーンもバラバラなので出演シーンを事前にチェックするだけでも大変でした。
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【菱山】
おおおお……それはそれは、お疲れ様でした。
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【高橋】
当時はどうしたら出演シーンを探しやすくなるか、というのにスタッフみんなでやっきになっていましたね(笑)。
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【菱山】
全台本、ツライですね……。
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【高橋】
そうですね。ベア6なんかもどこに登場するのか分からなくて、収録を終えてから再度台本頭に戻ってまた探す、、、など試行錯誤していましたね。若干混乱していました。
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【菱山】
そういった経緯もあって、現在の台本仕様はかなりカスタマイズされて読みやすくなったと聞いています。
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【高橋】
本当に良かったです。こういったゲームは長い時間をかけて収録するので、終わる頃には付箋だらけになっていたのを覚えています。
~VitaminZの収録について~
【菱山】
PS2『VitaminZ』は収録にどのくらいの期間かかっていたんですか?
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【高橋】
ちょうど、二ヶ月……でしたかね。毎日収録で、朝10時~夜10時という缶詰状態でした。毎日スタジオに行くから定期買っちゃいましたもん(笑)。
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【菱山】
当時の収録現場はどんな感じだったんですか?
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【高橋】
メインキャラを演じていただく皆さんはフレッシュな方たちが多くて、特にKENNさんや前野さん、代永さんなんかはここまでの長丁場の現場は初めてだったりもしたので、いっぱい話し合ってキャラ作りしながら収録をしていきましたね。当時まだ大学生の方もいて、授業の後に収録に来てたりして、大変だなぁと思いましたよ。
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【菱山】
エネルギーに溢れた現場だったんでしょうね。苦労したキャラやシーンはどんなところですか?
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【高橋】
一番大変だったと思うのは慧ですね。慧は怒ってるシーンも多いし、バーっと勢いよくしゃべり続けるキャラクターなので、気持ちはあっても声や体力が追いつかないシーンもあったりして。長時間収録するにはつらいキャラクターにも関わらず本当、頑張ってくださったと思います。
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【菱山】
GTRやR+はどうでしたか?
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「GTR」
左から桐丘凜太朗、天童瑠璃弥、加賀美蘭丸(VitaminZ) -
「R+」
左から佐伯影虎、上條元親(VitaminZ) -
【高橋】
そうですね。GTRの三名はそのまんまのキャスティング! という感じでした。なので、すんなりキャラに入れたように思います。上條だけは遊ばないようにしてください、と草尾さんにお願いして、上品で穏やかなキャラクターにしてもらいました。
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【菱山】
私は初めてプレイしたとき、佐伯先生にびびりましたね。
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【高橋】
影虎はもう、振り切ろう! というコンセプトを元に、小山さんに突っ走ってもらいました。なので、こちらからの提案というよりは、小山さん自身がもうビジュアルに負けないキャラや雰囲気を作り込んできてくださいましたよね。小山さんは収録のとき、必ず芝居はじめに「まいります」と、影虎で仰るんです。ああ、スイッチを入れてくれてるんだな、と。私もそれで毎回背筋がぴっと伸びるというか。
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【菱山】
おお。さすが理事長です! 収録現場でもきりっと緊張感を与えてくれるんですね。B6はどうでしたか?
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【高橋】
B6のメンバーについては苦戦しなかったように思います。皆さん、ドラマCDなどもあってキャラクターを継続されていましたし、そこからの成長というのも理解されていたので、スムーズに進められたと思います。ただ、教師としてメインキャラと接するシーンは少し悩みましたね。大人っぽく対応する清春、というのもどう表現すべきか悩みましたし、悟郎は女性として間違われるシーンもあったりして、メリハリをつけてもらったりしましたね。他にも生徒を諭すようなシーンについては、さらにまたニュアンスは変えてお芝居されたんじゃないかと思います。
~VitaminXの収録について~
【菱山】
それでは、今度は『VitaminX』について聞かせてください。『VitaminX Evolution Plus』からご一緒させていただいたんですよね。
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【高橋】
そうです。この収録は特殊な収録でしたよね。追加シナリオや追加ルートはよくある話ですが、この作品は既存シナリオの中にセリフ(音声)を追加していく、というやり方だったので、キャストさんも苦労されたかと思います。
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【菱山】
確かに、5年前の音声と今の音声が同じシーンに出てくる……というのは珍しいですよね。
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【高橋】
そうなんです、これがとにかく大変で。声やお芝居っていうのは成長していくものなので、基本部分はぶれてなくても若干の変化はどうしてもあるんです。なので、前後のお芝居や音声を聞いてもらって、いかに違和感なく演じてもらうか、というのが大変でしたね。
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【菱山】
そうですよね。演者さんはキャラクターの立場になって感情確認されてお芝居されていくので、長いことやっていただいてるとキャラクターも一緒に成長&変化していきますからね。
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【高橋】
でも台本は昔(5年前)のものなので、今見るとあれ?っていうような呼称やセリフなんかもありましたよ。なのでその度に現場でみんなで話し合って調整していってましたね。キャストさんも、「ええ? このキャラこんな感じだったっけ?」って仰るくらいの成長を遂げられたキャラもいたりして(笑)。とにかく大変だった分、みんなでベストを尽くせたな、と思いましたね。
~その後のシリーズについて~
【菱山】
『VitaminX Evolution Plus』のあと、『VitaminXtoZ』、『VitaminX Detective B6』、『VitaminZ Graduation』と続けさせていただきました。けっこうやりましたね(笑)。
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【高橋】
『VitaminX Detective B6』はスピンオフでしたけど、ドラマCD先行という珍しいやり方でしたよね。世界は違うけどキャラは一緒なのでどうなんだろう? って最初思いましたが、まんま『VitaminX』だったので、いつもどおりディレクションさせていただきました。
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PSP『VitaminX Detective B6』2012年2月9日発売
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【菱山】
ifのお話ですが、ファンディスクという立ち位置でやらせていただいておりました。個人的には思い入れのある作品です。
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【高橋】
そうですね。クラシックな舞台にいつものお馬鹿なドタバタで、主人公とキャラの肩書きは違うものの、関係性はそのまま、うまく運べたと思いますね。もっと事件解決したかったですよ。
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【菱山】
そうなんですよね。対抗でVitaminZのメンバーを持ってきても面白そうだな、なんてことも考えていたりしました。
~VitaminRについて~
【菱山】
さて。そんなこんなでいよいよ『VitaminR』も収録が終わり、出陣を待つばかりとなりました。私はキャストさんも交えてこんなにキャラ作りに時間をかける……という現場は初めてでした。Vitaminてすごいな、とちょっと感動してしまいましたよ。
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【高橋】
確かに、キャストさんが主導的に役作りをしてきてくださったりとか、収録前にディスカッションさせていただいたりとか、制作スタッフのこだわりもぴしっとしたものがあって、みんなが同じ方向に向かって走れたんじゃないかと思いました。
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【高橋】
とくにキャストさんは『VitaminX』でのキャラクターとの差をどう見せていくか、というのが一番の課題でしたでしょうね。全体的に、みなさん、『VitaminX』では比較的出しやすいところの声で演じられてたように思うんです。だからそれと差をつけるために高めor低めにやっていただいたりと頑張ってくださいましたよね。
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【菱山】
確かに。苦戦……というわけではありませんが、新しい声のトーンにチャレンジしていただいてる方もいますよね。録りなおしをお願いさせていただいた方も結構いましたしね。
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【高橋】
でも、先日も特典のドラマCDの編集で一通り音声を聴いてましたけど、『VitaminX』ではない『Vitamin』の6人がそこにいて、役者さんたちの引き出しの多さに改めて感心してしまいました。
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【菱山】
そうですね。私たちは台本~キャラづくり~完成を見てるから、余計にまったくの別物だと感じ取ってますが、まだユーザーの皆さんには伝えられていませんからね。だから本当に発売日が楽しみですよ。
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【高橋】
そうですね、早く感想を聞きたいです。
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【菱山】
ちなみに、収録が印象に残ってるキャラはどちらですか?
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【高橋】
うーん、、、みんなすごく思い入れはあるのですが、マルコは思い切ったディレクションでスタートを切れたなぁ、と思ってます。ある意味、Vitaminらしい破天荒なキャラですよね。L6での立ち位置やジルとの関係性とか、いろんな表情も見せてくるので阪口さんには殻を割ってもらう勢いで弾けていただきましたよね(笑)。
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マルコ・ラグランジュ(VitaminR)
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【菱山】
初日はけっこう悩まれていましたからね。でも、マルコ、すごくいいキャラになったと思います!! 他のL6もいいですよね!
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【高橋】
そうですね。あんなに弾けた感じの三宅さんとかも中々聴けないんじゃないかな(笑)。クリスもまさかの15歳に宮田さんのお芝居がなんなくマッチされていて。最初は何パターンかやらせていただきましたけど、結局宮田さんが考えてきてくださったキャラに納まりましたからね。彼らが今後さらにどんな成長をしていくのかが楽しみです。
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【菱山】
みなさんに弾けていただいた甲斐がありますね!!
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【高橋】
収録スタートしたときはキャラクターが中々決まらなかったり、その分時間もかかってしまいましたけど、でもあれが生みの苦しみというものなんですよね。現場でのディスカッションから台本を修正したり、スタッフやキャストの意見もとにかく作品をいいものにしよう! という想いがすごく強くて。あのときは一丸となってましたね。『VitaminR』はみんなで作り上げた、っていう印象がとても強く残っています。
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【菱山】
私はまさにテストプレイしてその想いをひしひしと感じてちょっと泣いちゃいましたよ。
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【高橋】
その想いがユーザーさんにも伝わることを祈っています! VitaminRは「ラブ」のRです。Lじゃないけど(笑)。
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【菱山】
お、綺麗にきまりましたね! では、最後に読んで下さっている皆様にメッセージをお願いします。
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【高橋】
スタッフ、キャスト、自分を含めた音響チームのメンバー全て、一丸となって情熱を込めた作品であることは確かなので、ぜひ、一緒になって燃えていただけたらと思っています! X、Zと同じくらい、愛してください! よろしくお願いします。
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【菱山】
高橋さん、本日はありがとうございました。